熱源

久しぶりに本のお話です。

どうしてこんなに素晴らしい本を今まで知らなかったのか、と悔やまれる良作です。

川越宗一さんの「熱源」は樺太のアイヌや、リトアニア出身のポーランド人を軸に、大国に飲まれるマイノリティーの不穏さや悲しみや、理不尽に耐える強さをえがいた小説です。

ヤングジャンプで連載中のゴールデンカムイというアイヌの女の子が出てくる漫画がめちゃくちゃ面白いのですが、ゴールデンカムイ好きさんも楽しめる小説ということで話題になっていたそうです。(2019年の直木賞作品でもあります)

ゴールデンカムイではアイヌを差別的に見るような描写はなかったけど、実際には和人(日本人)より下の位で辺境民族は和人の文化を学んで和人になるべしという考え方があったようで、自分の住んでいた土地が別の民族になるという理不尽さと闘いながら、必死にもがくマイノリティーの姿が美しいです。

アイヌ以外にもオロッコやギリヤークという少数民族も話に出てきて、そういったマイノリティーの存在は今まで知らなかったので驚きました。

いつか、北海道のアイヌコタンに行ってみたいなぁっとアイヌ文化に思いを馳せています。



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