おやすみプンプンが面白い

 「幸福な家庭はすべてよく似たものであるが、不幸な家庭は皆それぞれに不幸である」というトルストイの言葉を彷彿とさせる漫画が浅野いにおさんの『おやすみプンプン』です。

プンプンというある不幸な家庭に産まれた男の子の成長譚。父親は失業中、母親はそんな父親を尻目に、こんな男と結婚するんじゃなかった子供なんて作らず自由に生きればよかったということを子供の前でも平気で言うような人。主人公のプンプンは実は母親のことはあまり好きではない。

ある朝起きたらリビングはグチャグチャになっていて床に倒れている母親に狼狽する父親。どうみても父親が母親を殴ったように見えるのに「強盗が入ったんだ」と言う父親。

警察に連行される父親と病院に運ばれる母親。

お父さんどうしてそんな嘘つくの?ってところから物語が進んでいきます。

友達も訳ありの家庭ばかりで、不幸な家庭が当たり前になったリアルを感じながら読み進めると涙がポロポロと出てきます。

主人公のプンプンがとっても良い子で優しい子なんだけどそういうプンプンを押し潰す同調圧力やら人間の弱さやら、人間の醜い部分が悲しい。

出てくる大人たちは例外なく醜くて弱い。何かを失ってしまっているのだけど、それが何なのかわからずにもがく大人たちの気持ちもわかるので読んでいて辛い。私は大人なので、大人なんてそんなものだと思えるけど子供にとっては、自分を守ってくれるはずの大人がそんな感じだと絶望しかないと思います。

鬱漫画と言われている漫画だけど、主人公や家族が落書きのヒヨコのように描かれていることや、「プンプンはその時こう思いました。プンプンはこう感じました」というようなストーリーテリングの手法で、醜い部分が緩和されて不思議なおとぎ話を読んでいる気分にさせてくれます。

小学館のマンガワンというアプリで無料で読めますので、興味のある方は家時間のお供にどうぞ。

涙無しには読めないのでハンカチをご用意くださいませ
(*´˘`*)



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↑本文と関係ない可愛いお猫様♥️